夜にたゆたう身体

夜はゆっくりと、岸辺の波のように身体がたゆたう。

動作毎に、深く呼吸をする。

怪獣のように、どっしり。

私の心臓は、大きなクジラのよう。

水の中にいるように、ゆらゆらとする。

ふぅ、とまた、呼吸する。

その動作を味わうように。

 

素早い身のこなしは、昼間のうちに済ませておいてね。

夜になると、脈にほかの機能が合わせてくれる。

素早い人は、朗らかで申し分ない。

てきぱきとすることは、快活で気持ちがいい。

それに負けず夜の私の素晴らしいところは、懐がとても深いところ。

にくたらしさも包んであげられるようになる。

心の重たいものは、ゆったりとしたものに変わり、日々の煩わしさは、ただ愛おしいもの、失いたくないものになる。

 

心地の良い動線に描き直した部屋で、

心地の良い服に着替える。

 

布団は水面になり、眠るまで少し漂う。

完成された音楽より、雨音や道路の音に耳をすませる、何気ない平穏さを選ぶ。

どこにもトリップしなくていいから、今この時に耳をすませる。

 

今夜は気持ちがいい。

そう思う夜は、たいてい雨だ。

 

 

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